雑記帳(@watagasi_)

新しい扉の前に立つ北上双葉へ~もしくは彼女に歌う神楽すずへ~

アイドル部というvtuberのグループがあります。全員が女の子で2Dのvtuberです。筆者は幾人も存在するvtuberの中で、特に彼女たちを推しています。つまりファンです。

彼女たちは所属的に、シロちゃんの後輩にあたる存在なのですが、そのアイドル部に在籍する12人の子たちには1つの目標が設定されています。

曰く「youtubeのチャンネル登録者数が5万人を超えたら3D化する」と。

 

 

2Dの体でデビューしたvtuberが自分たちの応援によって3D化する…。こういったことは他のvtuber…例えば月ノ美兎さんにおいても、「ファンメイドのモデルで3D化する」という似たような事態がありましたが、こちらは活動当初から数字を以って明確に掲げられている目標。ファンの応援する気持ちをこれほど掻き立てるものはありません。

 

とはいえアイドル部の面々はそのために必死に数字を集めるようなことはせず、お互いに競うこともなく。

全員が自分らしくのびのびとvtuber活動をやり続けており、それに感化されて自分含むファンも、楽しい雰囲気のまま盛り上がってついでに3D化にこぎつければいいよね、くらいの心持ちでいました。こんなに穏やかな雰囲気で誰かを応援できるというのは、ありがたく幸せなことです。

 

 

 

しかしそうこうしているうちに、活動開始から約4ヶ月。アイドル部の中から目標の5万人を達成しようとするメンバーが現れました。

それが北上双葉ちゃんです。類まれなる癒やしボイスの持ち主ながら、パワーのある罵倒をちらりと覗かせるその様子から「ゆるふわナイフ」の名前で親しまれる彼女。

 

彼女に関してなにが印象深いかと言われれば、私としては時おり垣間見える「自信のなさ」だと思います。

 

そう感じるようになった発端はこれでしょうか。

 

これは以下の動画で「私アイドル部の中で浮いてるのじゃないかと」と発言した事に関するツイートです。

youtu.be

このツイートがどういったことなのか説明するにはアイドル部の特徴について軽く触れる必要があるでしょう。

 

アイドル部の面々というのは、もうそれは個性的なメンツばかりで、しかもかたや動画制作・イラスト・モデリングなどをマルチにこなし、Mっ気のある特徴的な叫び声がなにかといじりたくなる羊。かたや視聴者を振り回すほどの元気さでクソゲーポンコツにプレイしつつ、ディープなサブカル知識を披露する巫女、といった風に、その個性的のレベルが非常にブッ飛んでいるわけです。

 

特に顕著な特徴は、わかりやすく形にしやすい技能(先の例でいう動画制作・イラスト・モデリング能力とか、他にはプログラミング能力とか)を持ったメンバーが多いということでしょう。

こういったタイプの集団の中にいると「自分ってなにもできないなあ…」と思いこんでしまいがちなんですよね。「ああ、双葉ちゃんもそういう気持ちなのかな」とこの発言に共感したのを覚えています。

私はよくゲーム制作をするのですが、その際の役割はたいていプランナーで、作業しているとふと「絵も描けないしプログラミングもロクにできない自分はなんだろう…」という気持ちになるのでわかる気がします。

 

自信のなさを垣間見る瞬間は、この放送の約2ヶ月後の7/29の放送でもあります。

www.youtube.com

『最初の頃に双葉はアイドル部の中で浮いてるよねって発言しちゃって、それは自分がなにもできないからって思ってて。みんなって結構いろんなことが得意じゃないですか。だからそう思ってるとこがあって、だからもっと頑張らなくちゃだめだなって思ってて』

 

放送中に登録者数が4万人を突破したことをきっかけに、「浮いている」とこぼした前述の放送に触れつつ、ずっと自信のなさを抱えていたことを吐露してくれました。

 

もちろんこれが彼女の全てではないのですが、彼女についての印象を思い出そうとすると、浮かぶのはこういった光景でした。

 

 

 

そんな彼女が今、アイドル部で一番に3D化しようとしている。それはどんな気持ちなのだろう。

 

そんな考えを、他のメンバーも持っていたのでしょうか。そのことについて少しだけ、暗示的に語ってくれたアイドル部の子がいました。

それが神楽すずちゃんです。この子はアイドル部のメンバーでありながら、他のメンバーのただのファンかのような言動をするのが特徴の一つで、もちろん北上双葉ちゃんにもそういった言動を覗かせていました。

 

そんな神楽すずちゃんが先の件について触れたのがこの8/29の放送です。

www.youtube.com

といっても、彼女が語ったのはちょっとした言葉でした。

 

『サリシノハラって曲聞いて、なんか双葉さんとかぶって私号泣しちゃって。サビがね、サビが。そう、アイドルに向けた曲って言われていますよね』

という、つまり「ボカロの曲の歌詞が北上双葉ちゃんにかぶる」と言った、という程度のことです。

そして「サリシノハラ」のサビを歌いだしました。

 

 

 

『新しい扉の前で 独りで寂しくないかな

いっそ死にたいなんて思ってるのかな』

 

 

 

ほんの少しの言葉と、サビだけの歌詞。それだけだったのに、私には猛烈に泣けて仕方ありませんでした。

 

その歌詞は、まさしく私の印象の中の北上双葉そのものでした。自信のなさを抱えながら、しかし3D化という新しい扉の前に独り、一番に立つことになった彼女。その心境を想って歌う歌があるとすれば、これ以上のものがあるだろうか。

 

 

 

しかし私が泣けたのは「この歌詞が北上双葉に合うから」だけではありません。「この歌詞が北上双葉に合う」と語ってくれたのが、彼女と同じアイドル部のメンバーである神楽すずだから、というのもあります。

 

なぜなら同じアイドル部の神楽すずが北上双葉にこの歌詞を重ねたということは、同じ立場で北上双葉を「独りで寂しくないかな」と想ってあげられる人間がこの世に確実に1人はいるということで、それは「独り」なんかじゃないからです。

 

「サリシノハラ」は、少女とその近しい存在であった少年をモチーフに、少女がアイドルになったことで2人の距離が遠くなりながらも少年は少女を想っている、と歌っているかのような歌詞をしています。

www.nicovideo.jp

その距離の遠さから少年が少女を想うがゆえに、サビの「独り」なのですが、北上双葉と神楽すずは同じアイドル部です。新しい扉の前に北上双葉が一番最初に立とうが、同じ場所で神楽すずが想っている。それはきっと「独り」じゃない。

 

サリシノハラのサビはまさしく北上双葉でありながら、しかし神楽すずに歌われることによって北上双葉を表すことはない。そのことがとても嬉しかったからこそ猛烈に泣けてしまったのだと思います。

 

 

 

もちろんこれらは全て、私というファンの勝手な妄想です。実際に彼女らがどう想っているのかなんてことは彼女たちにしかわかりません。

 

ただ北上双葉という存在が新しい扉の前に立ち、そのときの彼女にかぶったという曲を歌った神楽すずという存在がいて、それを見てなにをか思った人間がいたということを記しておきたいと思います。

 

 

 

北上双葉ちゃんが新しい扉の先でも輝かしくいられるように、いちファンとしてこれからも応援しています。